こんにちは。
焙煎処 KUMAROMA 店長のyujiです。
今日はコーヒー豆の精製、後編です!
前回では生豆を取り出す工程(精製)の概要についてふれ、コーヒー豆の構造についてご紹介しました。
今回は具体的にどのような精製法があるのかをひとつずつご説明していきます!!
① ナチュラル(非水洗式/アンウォッシュト):(乾式精製/ドライプロセス)
水を使わない精製法で、収穫した果実をまるごと天日干しし、完全に乾燥させます。
十分に干からびるとパルプ、ミュシレージ、パーチメントがくっついて厚い殻(ハスク)になり、それを割ると中から生豆だけが出てきます。
歴史的に最も古い精製法で、水の便が悪いブラジル南部やイエメンなどでは今でも主流です。
ナチュラル精法では水を使わないで精製できるというメリットもありますが、乾燥中に果実が傷んで過発酵をおこしてしまったり、カビ豆や虫食い豆の発生も多くなります。
欠点豆を除去する手間が増えるものの、乾燥までの間果実の甘みがすべてコーヒー豆に乗るので、風味豊かな飲みごたえのある珈琲がお好きな方にとてもおススメです。
② ウォッシュト (水洗式):(湿式精製/ウェットプロセス)
精製に水を使う方法です。
フル(フリー)ウォッシュトとも呼ばれます。
この精製ではます、果実をパルパーという器械にかけて果皮と果肉を剥ぎ取り洗い流します。
このままではパーチメントについたミュシレージまでは取り除けていないので、次に大きな水槽に移して一晩ほどおきます。
するとその間に水中微生物による発酵でミュシレージが分解、その後もう一度水で洗い流すと綺麗に落ちてくれます。
この状態のものをパーチメント・コーヒーといいます。このまま保管して、輸出時になったらパーチメントの薄い殻(ハル)を脱穀します。
ウォッシュトの魅力はなんといってもその爽やかさ。
コーヒー豆のキャラクターによって、鮮烈なフレーバーを放つものから紅茶のような澄み渡った飲み口のものまで多種多様です。
③ セミウォッシュト (半水洗式)
ナチュラルとウォッシュトのちょうど真ん中に位置するのがセミウォッシュトです。
前半のパルプ処理まではウォッシュト、後半は乾式と同様なので「パルプト・ナチュラル」とも呼ばれます。
ウォッシュトと比べこちらは水を使用する回数が一回なので半水洗式。
厳密にはウォッシュトの一種として分類されています。
セミウォッシュトは20世紀に入ってパルパーの改良が進んだことで生まれた比較的新しい精製法です。
高性能のパルパーやミュシレージリムーバーと呼ばれる器械を使って綺麗に果皮からミュシレージまでをこそぎ落とします。
近年ではミュシレージの削りの程度をコントロールして香味にアプローチする「ハニー製法」という名前で、スペシャルティコーヒーという高級品作りに応用されています。
乾燥の方法にはいくつかあり、天日乾燥と機械乾燥、その両方を用いるやり方など様々です。
〈機械乾燥〉
天日乾燥ではパティオ(スペイン語で中庭や広場を意味するそうです)と呼ばれるコンクリート上にパーチメントに覆われた状態の生豆を敷き詰めて乾燥させます。
この手法では天日と地熱を利用して乾燥が行えます。
〈パティオ〉
途中で雨などの天候被害を避けるためビニールハウス内で乾燥させる生産者もいます。
過発酵を防ぎしっかりと乾燥させるためには何度も撹拌して通気性を保たなければなりません。
余談ですがイエメンなどでは生産者の家の屋根の上でたくさん積み重ねて天日乾燥させるため、下の層で発酵豆が多く発生しますが、その絶妙な香味がかえって高く評価されているといった例もあります。
そのためハンドピックといわれる欠点豆の除去作業をきちんとやりすぎると、イエメンモカの個性をかえって奪ってしまうといわれています。
さて、今回はコーヒーにおける精製法をご紹介致しましたがいかがでしたか!?
コーヒーチェリーを枝から摘み取る作業ひとつ取っても、ひとつひとつ完熟豆だけを手摘みしたり、手のひらでいっぺんに削ぎ取ったり、木の棒を使って枝をバシバシしばいて地面に落としたりと様々です。
何が正しいかを突き詰めるよりも、一杯のコーヒーに生産国の土壌、気候、経済(人件費や設備費など含め)まで映し出されている面白さに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
KUMAROMAには世界中の生産国出身の個性さんが大集合しています!
是非遊びにきてくださいね!!